sports diary of treasure

サッカーを語ります。好きなチームは川崎フロンターレ。

大島僚太は止まった時計の針を動かせるのか?

本日2019年12月10日にE-1選手権が開幕する。

この大会に臨む日本代表において、主力として期待されているのが川崎フロンターレに所属する大島僚太

ロシアW杯の代表メンバーに選出される等、国内組では屈指の実績、実力を持つ彼だが、W杯後に代表が森保体制に移行してから代表に選出される事はあっても1試合も試合に出場していない。

彼がこれまで代表の試合に出ていないのにはいくつか訳がある。

柴崎岳という存在

森保体制の日本代表において柴崎岳が絶対的なボランチのレギュラーとして君臨している。

森保監督はロシアW杯の16強入りの立役者となった彼を軸にチームを作っている。

今の代表のボランチは「柴崎+ボール奪取能力が高い選手」という組み合わせになることが非常に多い。

アジアカップでは遠藤航、最近のカタールW杯アジア予選では橋本拳人が柴崎の相棒を務める機会が多い。

森保監督はビルドアップを初めとした攻撃面を柴崎に託し、守備面において柴崎を補佐できる選手を相方に据える傾向がある。

この傾向が顕著に現れたのが先月の11月に行われたベネズエラ戦。

この試合において柴崎はフル出場をし、
相方はボール奪取力に定評のある橋本と山口蛍が務めた。(終盤には井手口陽介も出場)

一方で大島は招集されたボランチの中で唯一の出場機会無に終わる。

柴崎が競争相手であることが明確に示された試合であった。

現在、柴崎は所属するクラブにおいて出場機会を失っており、チームも不振にあえいでいる。

今回のE-1選手権は大島に取って絶対的レギュラーとして君臨する柴崎の牙城を崩せるチャンスであり、今後の代表キャリアの分岐点になる重要な大会とも言える。

度重なる怪我

次にあげられるのが怪我の多さ。特に肉離れによる負傷が多く、代表の選考から漏れてしまうケースが多い。

森保体制の初陣となった2018年9月のキリンチャレンジカップを左ひらめ筋肉離れで辞退し、同年の11月にも同じく左ひらめ筋肉離れで離脱。

今年に入っても第3節の横浜F・マリノス戦の試合前のウォーミングアップで負傷し、1ヶ月戦線から離脱。

その後復帰するも18節のサガン鳥栖戦で足を捻り負傷交代。

1ヶ月後の名古屋グランパス戦でメンバー入りするものの、再び試合前のウォーミングアップで負傷し左ひらめ筋の肉離れにより長期離脱。

以上のように選考対象になる前にコンディションの問題で直接アピールする機会を失い、日本代表メンバーとしての立ち位置を築けていないのが現状である。

但し、これだけ負傷を繰り返しても代表に招集されるという事はピッチ上での彼が圧倒的なパフォーマンスを見せている証拠でもある。

今のフロンターレ大島僚太のチーム

今季彼が出場した国内での公式戦(リーグ戦19試合・ルヴァンカップ3試合)においてフロンターレは1敗しかしていない。

実際に今季のフロンターレの試合を観るとボール保持・非保持に関わらず常にピッチの上で正しい位置取りを続け、攻守の切替も早く、抜群の技術でボールをキープし、次の選手へ繋いでくれる彼がいることで他の選手が落ち着いてプレーをすることができ、相手を見ながら余裕を持って戦える試合が多かった。


彼の存在がチームの勝敗に大きな影響を与えていたと言えるだろう。


また、先日発表されたベストイレブンの選出間投票の結果を見てみるMF部門において4位の得票を得ている。
優秀選手の投票結果は…MVP受賞の仲川が最多得票!! | ゲキサカ

これは対戦した他のチームのプレーヤーにとって彼が大きな脅威となっていた証拠であり、19試合の出場に留まったにも関わらず多くの得票を集めた事が皮肉にも彼の凄さを証明している。


フロンターレには過去にMVPを獲得した中村憲剛小林悠家長昭博といった選手達がいるが今のチームにおいてこれらの選手を凌駕する程、大島僚太の存在は突出しており、欠かさない選手と言える。

最後に~時計が止まった2018年6月~

現在日本代表の絶対的レギュラーとしてプレーしている柴崎岳

彼はロシアW杯直前でボランチのポジションを手にし、本大会での活躍により確固たる地位をものにした。

実はこの大会が始まる直前までボランチでレギュラーとしてプレーしていたのが大島僚太

大会前のガーナ戦、スイス戦ではスタメンとしてプレーをし、当時の西野監督の頭の中には大島僚太をレギュラーに据えて本大会に臨む考えがあったはずだ。

しかし、大島はスイス戦で打撲をし、負傷交代。

この試合で代わりにボランチとしてピッチに入った柴崎が次のパラグアイ戦でアピールに成功し、そのままレギュラーとしてロシアW杯で躍動した。

一方で大島は負傷の回復が遅れ、完治した時にはボランチのポジションにおいて序列が下になってしまっていた。

結果、中盤より前の選手において唯一の出場機会無しに終わり、決勝トーナメント一回戦、ベルギー戦での敗戦により彼のロシアW杯は終わった。

私は、試合を落ち着かせる事のできる彼を途中から投入していれば「ロストフの14秒」は起きなかったのでは無いかと今でも思う時がある。


あの時に止まった時計の針を動かせるのかどうかは彼次第である。

彼が持っている力を今大会で証明し、かつて掴みかけた代表のレギュラーに返り咲く事に期待して今夜のキックオフを待ちたい。

そして無事に大会を終えて帰国する事を祈っている。